日本独自リマスターでございますが、日本側所有のマスターテープを基としたものがミソ。
(日本特有の高音中心で幾分杓子定規的な感覚ではございますが)オリジナルに即した立体感と躍動感の強いものとなっており、非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは非常に興味深い経歴の名手揃い。
Pat Travers(Vo、G)、故
Peter ”Mars” Cowling(B、ex-Gnidrolog(!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)、The Flying Hat Band(かのJudas PriestのGlenn Tipton在籍!))、御存知!Nicko McBrain
(Ds&Per、ex-Stretch、The Streetwalkers、後にTrust、
現Iron Maiden)
となります。
ゲストにPete Solley(Key、ex-Paladin、Procol Harum、Snafu、Whitesnake、後にプロデューサーに転身、Motorhead等を手掛ける)、Brian”Robo”Robertson(G、当時Thin Lizzy、後にWild Horses、Motorhead等)、
前任のRoy Dyke(Ds、前作のアウトテイク使用の感)となります。
またバックコーラス兼セカンドヴォーカル(スキャット)でかのGlenn Hughes(ex- Trapeze、Deep Purple、Hughes/Thrall、Phenomena:Project、現Black Country Communion)が一曲参加致しております。
(Deep Purple解散後に制作されるGlenn Hughesの名盤「Play Me Out」にPat Traversが参加する事からもPat Traversのデビューに絡むGlenn Hughesとの強い関連が伺える感がございます....................................)
前デビュー作が好評となったPat Travers。
チャート的にはそれ程ではなかった模様でございますが、評判は非常に高いもの。名手揃いで評判の高かったライヴは評判を呼び中堅ミュージシャンのオープニングに多々起用された模様でございます。
Pat Traversが指向する音楽性が近代的なHR/HM系へと移行する事になり音楽性の相違から助っ人感が強かったRoy Dykeがツアー中に離脱、かの名手Nicko McBrain(ex- Stretch、The Streetwalkers、後にTrust、現Iron Maiden)が加入。
新体制でのライヴを経て臨んだ制作となります。
トリオ編成という事でかのJimi Hendrix ExperienceやTaste、Cream、Beck,Bogart & Appiceを思い浮かべる感がございますが、カナダ出身という事もあり案外大陸感(初期Grand Funk Railroad、ZZ TOP)のある音楽性でもございます。
名手揃いでそもそもPat Travers自体が作曲/アレンジに長けたミュージシャンという事があり、Jimi Hendrixにあったメンバー間の演奏力の差、Beck,Bogart & Appiceで問題になった作曲面の問題、Creamでのメンバー間の音楽性の相違と確執
等々という問題が無い事がミソでございます。
また前作ではデビュー作という事があり、(無名時代The Band起用で知られる)
Ronnie Hawkinsのバンド”Elephant”在籍という経歴を生かすという事で
その音楽性に絡むカバー楽曲が多め
(但し安易ではなく、一曲は代表曲と化します
が.............)
でございましたが、
今作では、Allman Brothers Bandで御馴染み”Statesboro Blues”(但し、Taj Mahalの1968年ヴァージョンを下敷きにした模様)のみ。
自己の音楽性の評価に確信を持ち、Ronnie Hawkinsの幻影を振り払ったという感がございます。
ギターヒーロー感が強い作風ではございますが、前作で顕著であった(同時期登場のFrank Marino、Uli Jon Rothに繋がる)Jimi Hendrix系の音楽性を非常に薄めたもので尚且つHR/HM色を強めたもの。
また、楽曲面やそのメリハリを重視しハードさとメロウさを分けた感があり、また
Pat Travers独特のファンク応用変拍子や(かのTodd Rundgrenに繋がる洗練された)メロディアス/メロウな感覚を強調した楽曲が聴かれるもの。
Jimi Hendrix等々のフォロワーから脱却し確固とした音楽性の土台を築いた事が判るものでございます。
後に”Pat Travers Band”結成に参加する名手Tommy Aldridge曰く「優れたリズム・ギタリストではあったが、リードギタリスト面は.......」というPat Traversでございますが、どちらかと言えば古典派リードギタリストという感。
楽曲重視もあり、ギターヒーロー感を重視しながらも纏まり感が強いものでリズム感の正確さ・巧みさを基とする演奏。またキーボードを他に託す事で自己の創作面の負担を減らした感がございます(但し、ギターでKey音を再現する面も........)。
またヴォーカルを重視した音楽性でもございます。
長い付き合いとなる故Peter’Mars’
Cowlingの演奏力は見事でトリオ編成という事があり、(後のツインリード・ギター編成で控えめとなりますが)このトリオ編成では派手目で非常に巧みなものが聴かれます。
Pat Traversの演奏と上手くバランスを取っており、
フレーズのセンスも抜群。かの名手Francis”Rocco”Prestia(Tower of Power)の強い影響下にある感があり、Pat Traversのファンク的な感覚やリズムの自由、音楽性の鍵はこの名手の存在による感がございます。
(かのZZ TOPの名手Dusty Hill的な感覚も..............................................)
前作に比べ纏まった感のある演奏ではございますが、ベストワークの一つの感がございます。
Nicko McBrainの演奏でございますが、非常にテクニカルで細やかなもの(英国ドラマー特有のハイハット捌きにも注目)。
既にStretch”Lifeblood”や英国クロスオーヴァー系(Jeff Beck Group絡み)The Streetwalkersの傑作二作というキャリアを積んでおりますが、ベテランの域という感のある演奏。
ここではキャリア随一とも言える演奏で後にIron MaidenのSteve HarrisがClive Burrの後任に選択したのは、メジャー化するバンドの音楽性の中でこういうテクニカルで細やか、幅広い演奏力を重視したという感がございます。
(そもそもSteve Harris自身が英国を含めたプログレ絡みの
相当な
音楽通という嗜好もあるのでしょうが.....................................)
リリースすれば前作以上に高評価。新トリオ体制のライヴは非常な評判を呼び、活動は順風満帆。
但し、スタジオ作ではオーヴァーダビング等で表現可能な音楽性もライヴではトリオという限界。ギターヒーロー系とは言えど作曲面に長けたPat Travers。
創作面と演奏面の自由と限界、そして米国ツアーを経て英国というマーケットの規模に葛藤し始める事となります......................................................
現在では入手が非常に困難。この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。