大型図録本 東洋美術 第四巻 陶磁 中国美術 貼込フルカラー原色写真図版92点
装禎 原弘
朝日新聞社
1967年 初版
執筆者 小山冨士夫 長谷部楽爾 藤岡了一 三上次男 満岡忠成
約38x27x5cm
定価 23、000円
布張上製本(透明?プラカバーのみ)
貼込原色図版92点
※2000部限定出版
※絶版
※本文漢字は旧字体、現代?かなづかい表記 商品説明?文では表示の関係上一部漢字を常用漢字に変換しています。
この大型図録は、わが国で収蔵されている中国を主とし、朝鮮、安南、ペルシアの陶磁器名品のフルカラー貼込図版92点を収録。
図版解説では作者、年代?、所蔵者、寸法、窯、国宝・重要文化財などの備考、全作品の詳細な見どころ、技法など解説、モノクロ参考図版、裏銘などもあわせて収載。
展覧会では主役級の、東洋美術史上重要なものばかり、美術館・博物館・寺院所蔵品から滅多にお目にかかることのない個人蔵の作品までを厳選。
監修・解説はそれぞれ日本の美術史家・中国美術研究家の第一人者によるもので、深い調査研究・考察による論考テキスト二段組となっておりボリュームもあり大変興味深く、解説ともに充実した最高峰の内容となっています。中国美術、煎茶道などの席にも不可欠な茶道具としての陶磁器、骨董品、古渡のやきもの、工芸美術愛好家必携の貴重な資料本。
【凡例より】
この図録は、中国、朝鮮、印度、ペルシャ等、日本を除いた東洋各地の美術品で、わが国で収蔵されている名品を
第一巻 絵画Ⅰ 日本にある宋?元?画
第二巻 絵画Ⅱ・書
第三巻 彫刻
第四巻 陶磁
第五巻 銅器
第六巻 工芸
の全六巻に収録するものである。本書はその第四巻 陶磁。
この巻には、中国、朝鮮、安南、ペルシアの陶磁/陶瓷を収めた。
所蔵者名は、博物館、美術館、寺院等の公的なものに限った。
【目次】より
わが国にある中国の陶磁 小山冨士夫
日本人と朝鮮陶器 満岡忠成
日本のペルシア陶器 三上次男
図版解説
フルカラー図版目次
戦国陶胎漆器量および勺 伝長沙出土 東京都五島美術館
漢 緑釉楼閣 京都市藤井有鄰館
晉越州窯青磁榊亭壺
南朝越州窯青磁天鷄壺 東京都出光美術館
唐?越州窯青磁四耳壺 法隆寺伝来 東京国立博物館
唐?越州餘姚窯青磁壺 余姚窯
唐?白磁鳳首瓶 東京国立博物館
唐?白磁獣耳瓶
唐?三彩壺 東京国立博物館
唐?三彩寶相華文盤
唐?三彩貼花龍耳瓶 東京図立博物館
唐?三彩貼花
唐?藍彩貼花共蓋壺 東京都静嘉堂
唐?藍彩壺 東京都五島美術館
北宋?定窯 白磁金彩雲鶴文碗
北宋?定窯 紅磁金彩牡丹文碗
北宋?定窯 白磁蓮花唐?草文鉢
北宋?耀州窯 青磁牡丹唐?草文皿
北宋?景徳鎮窯 青白磁唐?草文梅瓶
北宋?景徳鎮窯 青白磁瓜形水注
北宋?鈞窯 紅斑文水盤
北宋?鈞窯 紅斑文碗
北宋?磁州窯 白地黒掻落團花文梅瓶
北宋?磁州窯 白地黒掻落龍文梅瓶 神戸市白鶴美術館
宋?赤絵 草花文碗
遼三彩 草花文壺
遼 白和緑彩草花文瓶 東京国立博物館
南宋?砧青磁下蕪花生
南宋?官窯 青磁壺 熱海市熱海美術館
南宋?官窯 青磁鉢 東京国立博物館
南宋?龍泉窯 青磁浮牡丹太鼓胴水指 東京都静嘉堂
南宋?龍泉窯 青磁浮牡丹香櫨 足利市鑁阿寺
元?龍泉窯飛 青磁花生 大阪市安宅産業株式会社
南宋?建窯曜変天目茶碗 東京都静嘉堂
南宋?建窯油滴天目茶碗
南宋?吉州窯玳玻天目茶碗
南宋?吉州窯木葉天目茶碗
肩衝茶入 銘 初花
肩衝茶入 銘 松屋 東京都根津美術館
元?染付魚藻文壺 東京図立博物館
元?染付鳳凰草花文八角瓢形瓶 山形県掬粹巧藝館
元?染付細柳營図壺
元?染付唐?草文共蓋壺
元?染付牡丹文大皿
元?釉裏紅草花文大壺
元?釉裏紅芭蕉文水注 東京都出光美術館
明?永楽染付花卉文大皿 東京都出光美術館
明?永楽染付松樹文大皿
明?永楽染付双魚文大皿 奈良市大和文華館
明?永楽染付龍波濤文天球瓶 東京都畠山記念館
明?宣徳染付枇杷文大皿 東京都出光美術館
明?宣徳釉裏紅魚文馬上盃 奈良市大和文華館
明?成化染付蓮池文壺
明?古赤絵魚藻文鉢
明?嘉靖金欄手八角大壺 神戸市白鶴美術館
明?嘉靖金襴手下蕪花生 東京都根津美術館
明?嘉靖金欄手透彫仙盞瓶 東京都五島美術館
明?萬暦赤絵龍文花生
明?萬暦赤絵龍鳳文蓋物
明?眸瑞蜜柑水指 東京都出光美術館
清?乾隆?古月軒粉彩人物図逹瓶
清?乾隆?粉彩九桃文天球瓶
清?乾隆?洋彩青果図皿
高麗青磁陰刻蓮花唐?草文浄瓶 東京都根津美術的
高麗青磁透彫唐?草文箱 東京国立博物館
高麗青磁象嵌葡萄唐?草文瓢形水注 大阪市立美術館
高麗青磁象嵌蒲柳水禽文瓶 東京国立博物館
高麗黒地白彩草葉文瓶
井戸茶碗 銘 喜左衛門 京都市孤篷庵
雨漏堅手茶碗 東京都根津美術館
柿の蔕茶碗 銘 毘沙門堂 東京都畠山記念館
李朝?彫刷毛目扇壷
李朝?絵粉引扇壷
李朝?染付面取秋草文壷
李朝?辰砂蓮花文壷
李朝?鉄砂虎文壷
李朝?鉄砂蘭文壷
安南染付蜻蛉文茶碗 名古屋市徳川美術館
泰ソコタイ窯白地鉄絵魚文壷 東京都出光美術館
ペルシア 青粕堆線文水注
ペルシア 碧青粕銀化浮格子文平壷
ペルシア ラスター彩倣文字文把手壷
ペルシア ラスター彩鳥形水注 東京都出光美術館
ペルシア 透彫鳥形水注 東京都出光美術館
ペルシア 白粕藍黒彩花文把手壷
ペルシア 青粕黒彩唐?草文面取壷
【わが国にある中国の陶磁 小山冨士夫】より一部紹介
はじめに
わが国にある中国陶磁はその数が頗る多く、またその種類が実に豊富である。
世界をながめてわが国ほど深山の中国のやきものがあり、そしてその種類の多い
国はないだろう。これはわが国と中国とは海をへだてた隣国であり、古くから往
来のあったためでもあろう。またわが国は中国を先進国として敬い、古くから渡
来した中国の文物を尊び、これを大切に保存してきたためでもあろう。
陶磁器は絵画・彫刻・金石などとちがい、もともと生産量が比較にならないほ
ど多い上に、古く奈良時代?から生活の必需品として夥しい数を中国から輸入して
いる。中国から果してどれくらいの数量の陶磁器を輸入したかということは勿論
正確なことはわからないが、少なくも何百万、或いははるかにこれを上廻る数字
かも知れない。そのすべてがすぐれているわけではなく、むしろつまらないもの
の方が多いかも知れない。しかしその中からわれわれの祖先が選んでいたものの
うちには、今日世界のどこにもないすぐれたものがいろいろとある。
われわれの祖先が選んだものは時代?により將来されたやきものの種類もちがい、
またこれを選ぶ目も時代?によってちがっている。しかし、奈良朝以来千余年の歴史を通じて日本人の目で選ばれているというところに同じ中国のやきものでも他
の国々にあるものとちがう点がある。
わずかの紙数でこれをくわしく述べることは出来ないが、奈良・平安・鎌倉・室町・桃山・江戸?・明?治・大正・昭和?と各時代?にわけ、将来された中国の陶磁と、
わが国に伝世する各時代?の名作についてごくざっとしたことをのべてみたい。
なお、わが国にある中国の陶磁と、中国や欧米その他の国にあってわが国にな
い中国の陶磁についてもごく簡単にのべ、わが国にある中国陶磁の特質を明?らかにしてみたいと思う。
奈良時代?に渡った中国の陶磁
中国と日本との交易は勿論奈良朝以前にもあり、漢や六朝の中国の古陶磁がわが國に渡っていたことは想像できる。漢や六朝の鏡がわが国の古墳から出土して
いるのだから、陶磁器も将来発見されないとはかぎらない。しかし、従来わが国
の遺跡から漢や六朝のやきものが発見された例をきいたことがないし、またその
頃将来されたやきもので、伝世しているものもかつて見たことがない。
わが国に伝世する中国陶磁で最も古いと思われるのは隋もしくは唐?初と思われ(以下略)
【著者について】
小山 冨士夫
昭和?期の陶磁史研究家、陶芸家 元?・和光大学教授;元?・出光美術館理事。
別名=古山子(コザンシ)
学歴〔年〕東京商大(現・一橋大学)予科〔大正2年〕中退
主な受賞名〔年〕芸術選奨文部大臣賞(昭34年度)〔昭和?35年〕、神奈川県文化賞〔昭和?47年〕
経歴はじめ陶芸家を志し、京都の真清?水蔵六に入門するが、昭和?5年東洋陶磁研究所設立とともに同所員として古陶磁の調査研究に専念。20年応召、朝鮮で敗戦を迎える。戦後は東京国立博物館、文化財保護委員会に勤務。34年同会美術工芸課調査官。36年“永仁の壺事件”で同委員会を辞職。41年中国河北省での北宋?定窯の遺跡発見をはじめ、朝鮮・エジプトなどでも調査研究を行なった。文化財保護審議会専門委員、日本工芸会副理事長、出光美術館理事もつとめ、42~48年まで和光大学教授を務めた。41年には鎌倉の自宅に、48年岐阜県土岐市に築窯し再び作陶、個展を開催した。著書に「宋?磁」「支那青磁史稿」「満蒙の古陶磁」「東洋古陶磁」(全7巻)など。「小山冨士夫著作集」(全3巻)がある。
長谷部 楽爾
日本の陶磁器研究家。
1928年、仙台市生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。文化財保護委員会美術工芸課、東京国立博物館学芸部工芸課に移り、同館の東洋課長、学芸部長、次長などを歴任し、退官。その後、恵泉女学園大学教授、東洋陶磁学会常任委員長、日本貿易陶磁研究会会長などを務めたのち、現在は、東京国立博物館名誉館員、出光美術館理事、石洞美術館館長、常盤山文庫中国陶磁研究会代?表などを歴任。
藤岡了一
元?大阪芸術大学教授の東洋陶磁史研究者。明?治42(1909)年11月15日、大阪市東区に生まれる。大谷大学で東洋史を専攻し、昭和?7(1932)年同校を卒業。東京帝室博物館研究員となり、同館鑑査官補となる。南方博物館要員となり、同年4月よりマレー軍政監部文教科事務嘱託、同19年2月より同軍ペラ州政庁勤務、タイピン博物館駐在員となる。戦後の同22年2月、京都市立恩賜京都博物館に入り工芸を担当。同27年京都国立博物館学芸課工芸室に移り、同室長、同学芸課長を歴任。同46年に停年退官するまで長く同博物館で活躍し、同館調査員を嘱託された。また、文化財保護審議会専門委員、奈良国立博物館調査員となり、泉屋博古館嘱託となったほか、藤田美術館、白鶴美術館、逸翁美術館などの理事をもつとめた。東洋陶磁史全般を見渡す広い視野を持ち、中国、日本の彩釉を中心に大系的な研究を進めた。
三上次男
考古学者、東洋史学者。 1932年東京大学東洋史学科卒業。同年東亜考古学会留学生として中国に渡る。 49年東京大学教授。のち青山学院大学教授。歴史学の幅広い知識を基礎に、広範な地域の考古学調査と問題解明?にあたった。当初は北東アジアの先史・原史時代?がおもな研究対象であったが、のちにペルシア陶器に研究の主題が移り、南アジア、エジプトなどの諸地域で発掘調査を行い、陶磁貿易の実態を明?らかにした。その成果は「セラミック・ロード」として東西交渉史の新たな視点を開いた。 86年日本学士院会員。著書に『金史研究』 (3巻、1970~73、74年学士院恩賜賞) がある。