内容は言わずもがな。
ラインナップは個性派名手揃い。
故Keith Emerson(Key、ex-The Nice)、故Greg Lake(B、G、Vo、ex- King Crimson
)、Carl Palmer(Ds、Per、ex-Atomic Rooster)となります。
The Nice時代からアイデアを温め続けたかのムソルグスキー”展覧会の絵”の再構築抜粋版を
デビューライヴからセットに加え、
前作”Tarkus”の大成功の実績を強みに
完全版として製作し、次作としたい要望を持った故Keith Emerson。
されど故Greg Lakeに「ヤダ!」と拒否され説得。
擦った揉んだの末にライヴ録音一発取り(音調整のみ。修正なしの筈)で制作したものの、今度はレコード会社がリリースを「ヤダ!」と拒否する始末。
粘り強い交渉の末リリースに漕ぎ着けるものの、廉価版レーベルリリースというオチ。
「スタジオ新作は造ってね」とのレコード会社に加え、
「”展覧会の絵”リリースという無理な要望が通せたのだから、新作(次スタジオ作”Trilogy”)は自分の主導で制作するからね」
という
故Greg Lake
(プロデューサーですからレコード会社との大変な交渉も行っていた筈)の要望を受け入れるという条件と
引き換えにリリースされた感のある、
この”展覧会の絵”でございます。
故Keith Emersonとしては廉価版レーベルリリースという理不尽な条件であったものの、
The Nice時代から温め続けたアイデアの完全な具体化。Keith Emerson自身の主導による待望の制作という事もあり
留飲を下げたという感がございます。
数回の(音調整やアレンジ調整込みの)試験的ライヴ録音を経て制作された作品でございます。
理不尽とは言えど、ライヴ録音という緊張感ある制作が吉と出た感がございます。
正直クラッシックのファンからは賛否両論だった模様でございますが、
音楽性主導の故Keith Emersonはかの故冨田勲氏と後に交流を持つ方でもございます。
Robert Fripp(King Crimson)やBrian Eno、David Sylvian、故Frank Zappa同様の”ロック等のポピュラー音楽界で非常に興味深い活動を行う現代音楽家”
として鑑みると見えてくるものがございます。
Emerson,Lake & Palmer自体”Keith Emersonの音楽知識のサーカス”とも揶揄されます。
前述の”興味深い活動を行う現代音楽家”Keith Emerson、その作品群でとりわけその姿勢が顕著に現れた作品が今作という感がございます。
そもそもプログレッシヴ・ロック自体が
「様々な音楽要素をロック音楽という土台の上でイギリス人的な生真面目なアマチュア感覚とアート感覚で創り上げてしまった音楽」とも言われます。
その典型的な代表作という感がございます。
前作”Tarkus”では大仰で強烈、インパクト重視だったものの非常に効果的であった新兵器”Moog Synthsizer”の使い方を存分に生かしてしており、
興味深いものとなっております。
相当な意欲でライヴに臨んだ事もあり、演奏もキャリア随一のもの。
よくもこれだけの演奏を含めたアイデアがあるものだと呆れさせる程のもの。
かの名ギタリストRitchie Blackmore(ex-Deep Purple、Rainbow)に「後にも先にもいない、一世一代の演奏家」と
言わしめた事が一番理解出来る作品の感もございます。
また、名手で個性派、そもそもジャズ・ドラマーを目指していたCarl Palmerの演奏は輪を掛けて強烈。
正直故Keith Emerson同様、相当な意欲を以てライヴ録音に臨んだ感がございます。
故Greg Lakeは他の二名程の意欲ではなかった模様でございますが........................
その醒めた客観的なプロデューサー的姿勢が暴走気味の二名の手綱を締めるという事となり、作品に演奏的な纏まりを齎すものとなっております。
ハイテク系ベーシストとも言われるGreg Lakeはそもそもギタリストでございます。
正直ベーシストとしては反則的な演奏でございますが、その強烈さも今作の魅力となっております。
但し、今作も”譜面”によるものでございます..............
「譜面以外の(即興)演奏は許さん!」というのが故Frank Zappaでございますが、そこにも繋がる感がございます........................................
廉価版レーベルという故Keith Emersonにとっては忸怩たる思いをしたものであったリリースであったものの、
何と!”展覧会の絵”は全英・全米驚愕の大ヒット。
後にRick Wakeman(Yes、ex-Strawbs、ABWH他)がソロ作「ヘンリー八世と六人の妻たち」を制作し驚愕の大ヒット。
制作すら渋ったレコード会社に「そら見た事か!」と宣わったそうでございますが、正にそれでございます。
最高傑作の呼び声高い次作「頭脳改革」では
再び
(”展覧会の絵”の高評価・驚愕の大ヒットに大きな自信を得た)故Keith Emersonが
音楽性の全面に立つ感がございます。
Emerson,Lake & Palmer解散後は映画音楽制作に勤しんだKeith Emersonでございます。
かのAsiaの大成功もありシーンの表舞台に引っ張り出され結成した感のあるのがかのEmerson,Lake & Powellでございます。
(故Cozy Powellのソロ契約が基となっていたプロジェクトであった模様でございますが.............)
そのEmerson,Lake & Powell制作時に取り上げたホルストの”火星”でございますが.......................
制約が多くなった八十年代という音楽ビジネス時代の中であっても、この”展覧会の絵”の大ヒットが影響していた感がございます............
作品には実況録音という事もあり、驚く程の
観客の
熱い反応が収録されております。
如何に当時の音楽ファンの感受性が豊かで鋭いものであったか、が判るものでございます.......................................................
また実況録音とは言えど非常に優秀な録音。アナログ時代からオーディオファンに非常に評価が高かったものでもございます。
現在ではこの仕様盤は入手が困難の模様。この機会に是非。