日本独自リマスターで日本特有の高音中心で幾分杓子定規的ではございますがオリジナルに即しており、非常に良心的な音質となっております。
幾分パンチのある音質ではございますが.............................
そもそも音質の良さから当時のオーディオファンに重宝された作品ではございますが.......................
内容は言わずもがな。
ラインナップは全盛期名手揃い。
Daryl Hall(Vo、G、Synth、Vibraphone
)、John Oates(Vo、G、Synth、Synth-G)、Charlie Dechant(Sax)、G.E.Smith
(G)、
故Tom”T-Bone” Wolk(B、Synth、G
)、
Mickey Curry(Ds、Per、当時はBryan Adamsと掛け持ち)となります。
またゲストとしてRobbie Kilgore(Key、Synth Programming)、Jimmy Bralower(Lynn Drum)、Wells Christy(Synclavier)、Clive Smith(Fairlight CMI)、
Basiri Johnson(Timbare)、Jay Burnett(Per)他の多数
参加がございます。
長年のNeil Kermonに変わり、共同プロデュースに御存知!
Bob Clearmountainを起用。
(Bruce Springsteen、Bryan Adamsで知られ、ブラコン系含め数々のメジャーな大ヒット作を手掛ける)
但し、ダンスミュージック系の名プロデューサーArthur Bakerをミキシング・コンサルタントと追加プロダクションに起用がミソでございます。
ライヴ盤制作の予定がレコード会社の要請でスタジオ新作制作と変わり、
成功のプレッシャーを伴う非常に困難な制作だった前作”H2O”が大ヒット。
ツアーも大盛況。
その
後
、休息と音楽性の充実や新たな模索を図りたい当人達は(前作の大成功を盾に)次作は新曲を含むベスト盤をリリースと決め、
前作後に出来なかったインターヴァルを置く事となります。
前作の制作期間の問題(何せリリースは前々作の約一年後!)があり、
大成功したものの(時間制約から来る)音楽性の制約感があった
前作の反省に立った感がございます。
前作ベスト盤に収められた新曲二曲”Say It Isn't So””Adult Education”でございますが、
前者は従来型の音楽性を継承した感がございましたが、後者はオーヴァーダビング等スタジオ技術を強く生かしたもの。
双方大ヒットとなりましたが後者は今作に繋がり、音楽性の分岐点の感がございます。
そもそもDaryl Hall & John Oatesはソウルミュージックとロック音楽の融合を理想とした音楽性でございますが、
当時のエレクトロ・ダンス・ミュージックに注目。
その強烈で多彩な色彩感を取り入れた感がございます。
また当時のロック系売れっ子プロデューサーでブラコン系にも精通し音響系にも優れたBob Clearmountainを主に、
ブラコン・ダンス・ミュージック系にも絡みリミックス・エンジニアとしても手腕を発揮したArthur Bakerを起用。
更にはHR/HM系プロデューサーNeil Kermonと袂を分かつ事で、
長年感じられた(隠れハードロック・ミュージシャンと言われる)Todd Rundgren色の音楽性を払拭した感がございます。
また、音楽性の模索・創作に時間を多く掛けられた事もあり、前作に比べてソウルミュージック系の趣味性が強く感じられる感がございます。
非常に緻密な音造りや音楽性で、以前とは打って変わった感のあるもの。ロックバンド的な纏まりの楽曲は控えめで音楽性の一要素の感。
基本ユニットはバンドでございますが、ゲスト参加の多さからも音楽的装飾に相当凝ったもの。
またロック音楽のスタイルに拘る事なく実験的な感覚が伴うもので、”Daryl Hall & John Oatesの音楽的宇宙”とも称された作品でございます。
また実験的という事で嘗てグルジェフ神秘主義の自己啓発セミナーで意気投合したかのRobert Fripp(King Crimson
)の音楽的影響が
再び聴かれる楽曲も存在。
Robert Frippの”Frippertronics”的なシンセが聴かれる事も興味深いものでございます。
充実した演奏を聴かせる全盛期バックバンドでございますが、巧みさは以前同様でございますが、以前と変わって装飾感のある演奏。
特にG.E.Smithの演奏が顕著(繋ぎの名手は健在ではございますが.....)。
故Tom”T-Bone
”
Wolk/Mickey Curryのリズム隊もロック色に拘らず変幻自在の感がございます。
Charlie DeChantのサックス演奏は言わずもがな........................
全盛期のDaryl Hall & John Oatesでございますが、意欲的で実験感のある作品。
されど音楽の創造性は非常に冴えたもので非常に充実したものでございます。
リリース当初は驚きを以て迎えられましたが、音楽性の新鮮さと充実ぶりは見事なもの。
多数シングルの大ヒットも加わりアルバムは驚愕の大ヒット。(音響面をも含め)八十年代を代表する大傑作と称される事となります.............
その後のツアーではこの緻密な音楽性がステージで再現出来るのか?が興味の対象となった感がございますが、
バンド・アンサンブルの巧みさを上手く生かしたライヴ・アレンジが成されており見事なもの。
ライヴでの名声が高まる事となります.............................
以前収録したもののお蔵入りとなったライヴ盤企画を再び、となりますが......................................
かの”Live Aid”で大好評だった自らのルーツで敬意を抱くかの”Temptations”の”David Ruffin””Eddie Kendricks”との共演企画を中心に、
と変貌する事となります......
但し、今作で全てを使い果たした感があり、ツアー後に活動停止。
その後オルタナ/グランジの台頭等々の時代の変貌もあり、八十年代的な音楽性は敬遠される事となります。
再始動後は試行錯誤の感がございましたが、
デュオ前身”Gulliver”時代のフォーク・ロック系の音楽性に繋がる音楽性を指向する事となります...........................
現在では入手が非常に困難。この機会に是非。