未開封新品でございます。
日本独自リマスターで日本特有の高音中心で幾分杓子定規的ではございますがオリジナルに即しており、
アナログ感がある非常に良心的な音質となっております。
但し、幾分パンチのある音質でございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは興味深い名手揃い。
Daryl Hall(Vo & Key、Mandora)、John Oates(Vo、G、Harmonica)、Christopher Bond(G & Key)、Tom Hensley(P)、
Leland Sklar(B、御存知!The Section、Toto/Lee Ritenour/Phil Collins他サポート)、
Scotty Edwards(B、Stevie Wonder他ブラコン系セッション)、Tom Scott(Sax、御存知!Tom Scott & the L.A. Express、Joni Mitchel)、
後に御馴染みとなるChalie Dechant(Sax)、
Jim Gordon(Ds、ex- Derek & the Dominos、Traffic、Jack Bruce”Out of the Storm”他)、
Ed Greene(Ds、”MOTOWN”系で御馴染み、Jeff Beck”Wired”、Donald Fagen”Nightfly”他参加)、
Gary Coleman(Per)他となります。
プロデュースはChristopher Bond、ストリングス/ホーンのアレンジも担当となります。
1976年米国カリフォルニア州”Cherokee Studios”、”Sound Labs Studios”での制作となります。
そもそもテンプル大学での邂逅がきっかけで結成のフォーク・デュオ”Gulliver”から始まるキャリア。
フィラデルフィア・ソウルの影響を強く受けているものの
ソウル/(本物の)R&B等々ブラック・ミュージック、フォーク、ロック音楽、
ポピュラー系と音楽性が混在しており、
その後ソウル・ミュージックとロック音楽の融合を漠然とした理想として”Daryl Hall & John Oates”と改名。活動を活発化させます。
Warner Brothersが契約に乗り出し、大物プロデューサーArif Martinの制作で登場。
されど、
音楽性の焦点が定まってない事があり鳴かず飛ばず。
John Oatesの故郷ニューヨークに拠点を移動、
前作の反省を基に再びArif Martin制作にて
2ndを制作。
当時商業的な成功は収められなかったものの高い評価を得、その自信を基にロック色を強めようとかのTodd Rundgrenを制作に迎え、
隠れ名盤3rdを制作。
前作でのBlue Eyed Soul系ファンに不評でセールス不振ではあったもののTodd Rundgrenに音楽性の有り方を相当仕込まれた模様で、
音楽的方向性が確立。
Warner Brothersから契約解除されたものの大手のRCAが獲得に乗り出し、Christopher Bond制作にて新作制作しリリース。
タイトルからも再デビュー作となりますが、今度は”Sara Smiles”の大ヒットも加えアルバムは成功を収める事となります。
また過去作の再リリースで”She's Gone”がヒット、2ndも再発とは言えヒットを記録という副産物を生み出します。
そして再度Christopher Bondを制作に迎え、満を持して新作制作に乗り出すという経緯がございます...............................
さて今作。
3rdのTodd Rundgrenは昔ながらのプロデューサー。
「こうあるべき」とプロデューサー主観を良い意味でも悪い意味でもミュージシャン側に強いる方。
(ミュージシャン側にポピュラー性等々欠如している場合はそれを主観的に補うという面もございます.......”Grand Funk Railroad”等々.....
但し、かのXTCやCheap Trickというポピュラー性が武器というバンドでは解釈を巡り対立を招く事となりますが....................
例外はかの高野寛さんでございますが.....................「完璧で手を加える必要はない」と..............)
Todd Rundgrenに相当仕込まれた事から音楽性がスリム化した感があり、音楽性の方向性が決まった感がございます。
そのTodd Rundgrenの呪縛(笑)やWarner Brothers特有の商業性(後にかの”Fourplay”も指摘)から離れた前作では伸び伸びとした感があり、
ソウル/ポピュラー系というDaryl Hall & John Oates独特のメロディアスさが全面に打ち出されており、
またロック音楽の躍動感やシンプルさが感じられるもの。
楽曲も粒揃い。一気に垢抜けた感のある
前作の実績を基に...............と言う感がございます。
前作以上にソウル/ポピュラー系メロディアスさを強く打ち出し更にロック色を強めた感があり、躍動感が感じられるもの。
ギターを前面に打ち出した
バンド感を重視と言う感がございます。
Daryl Hall & John Oatesと言えば後の多々シングル・ヒットで知られますが、そもそもシングル向けのあざとさが案外ないという音楽性。
(全盛期程の洗練さはございませんが)
今作でもコンパクトさがございますが、アルバム指向の楽曲が揃うという感。
シングル・ヒットのみで評価された、成功を収めたというミュージシャンではない事が伺えるものでございます。
但し、プロデューサーのChristopher Bondが彼らを”ロック/ポピュラー性を持つ興味深いBlue Eyed Soul系”と捉えていた感があり、
音造りを含めそういう枠を設けていた感がございます。
(前作同様)ストリングスの有り方がそれを伺わせるもので、そのアレンジの有り方もその系統の感。
ロック色を強めたいミュージシャン側と”Blue Eyed Soul系”としての更なる成功を求めるレコード会社、
音楽性をそう捉えたプロデューサーとの葛藤が伺える感がございます。
”Daryl Hall & John Oates”はロック音楽とソウル・ミュージックの融合を(当時はまだ漠然とは言え)理想に掲げるミュージシャン。
質は非常に高いもののその設けた枠が彼らの音楽性に狭さや居心地の悪さを齎していた感がございます...........
リリース後は非常に
好評で
かの”Rich Girl”の大ヒットが加わり、再び大ヒットを記録する事となります。
されど前作を含めシングル・ヒットから”Blue Eyed Soul系”というレッテルが貼られる事となり、商業性から来る音楽的制約と理想の音楽性を求めて、
制作の有り方に不満が露見し不振となった次作後にChristopher Bondと袂を分かつ事となります。
Todd Rundgren絡みでロック色を強化した感のある新たなバックバンドを構築。
ロック系プロデューサー起用含めた次作の構想を練りつつ意気揚々とツアーに臨み好評を得る
ものの、
ラジオ放送用に収録した音源をレコード会社が勝手に編集・リリース。
スタジオ録音とライヴ
に代表される
音楽性の違いに悩んでおり、(本音を生かせるライヴ盤とは言え)彼等は憤慨する事となります..............
葛藤が続いていく事となります........................
また、1974年グルジェフ神秘学の自己啓発セミナーでDaryl Hallが「音楽に対するアプローチが似ている」事で意気投合。
かの”音楽無政府主義者”Robert Fripp(King Crimson、Fripp & Eno、Sylvian/Fripp)との邂逅の影響が窺える楽曲が登場している事が
非常に興味深いところでございます.........................
この機会に是非。