大型図録本 古柿右衛門 作品集 写真集 解説 日本の陶磁 カラー180点182図 古伊万里 新装普及版
KAKIEMON WARE
責任編集 林屋晴三
監修 谷川徹三・川端康成
扉題字 川端康成
中央公論社
1989年初版
101ページ
約34.5x26x1cm
作品写真図版フルカラー
ビニールカバー付 帯付き、ソフトカバー
※絶版
フルカラー大型図録本、古柿右衛門 古伊万里 図鑑。
色絵磁器が次第に一つの様式美を整えていく十七世紀?後半から生産され始めた、柿右衛門様式の優美な作品の数々。
乳白手と呼ばれる色絵磁器の展開を、編年的に構成し、さらに海外に流出した名品をも多数収録。
江戸?時代?初期から中期(17世紀?初期~18世紀?初期)を中心に、柿右衛門様式色絵磁器の作品とりあげ、責任編集者が図版構成。
厳選された国内最高峰の優品を網羅して180点182図版を収録。
前半では、柿右衛門様式として典型的な作品をとりあげて鑑賞に供し、後半はあらゆる器形を網羅して編年的図版配列を行ない、作風の展開のさまがわかるように努めた。
「原色愛蔵版 柿右衛門 日本の陶磁」と掲載作品は同一で、内容を再編集・再構成した新装普及版。
フルカラー写真に加えて、巻末には全作品の寸法、制作技法ほか景色などの見どころ、伝来、来歴など詳細な解説を収載。
作品名については、全作品に英文表記あり。
美術館・博物館所蔵などの国宝・重要文化財をはじめとした名物から、
めったにお目にかかることのできない個人蔵の銘品優品を多数カラーで写真解説したもの。
大型本のため、各作品の写真も大きく、細部まで見て楽しむことができる、
陶芸家、茶道具、酒器、古陶磁、日本美術、骨董品愛好家等に必携の大変貴重な資料本です。
監修者、責任編集者ともに昭和?後期最高峰の内容を誇り、参考文献としても多く引用されてきた一冊。
【監修】
谷川徹三(昭和?を代?表する哲学者・国博物館次長・法政大総長等を歴任し、古今東西の思想・宗教・政治・文学・美術に及ぶ広範な評論活動を展開)
川端康成(小説家・文芸評論家。大正から昭和?の戦前・戦後にかけて活躍)
責任編集は
林屋晴三(日本陶磁史、とくに茶陶の研究を進めた東京国立博物館名誉館員。日々茶の湯を実践した数寄者、東京国立博物館次長、裏千家茶道資料館顧問、頴川美術館理事長、菊池寛実記念智美術館館長などを歴任、博物館や美術館における展覧会活動には終生関わった陶磁史研究の第一人者)
【凡例】
*本巻では、江戸?時代?初期から中期(17世紀?初期~18世紀?初期)を中心に、柿右衛門様式色絵磁器の作品180点182図版をとりあげ、責任編集者が図版構成を行なった。
*「柿右衛門図版I」では、柿右衛門様式として典型的な作品をとりあげて鑑賞に供し、「柿右衛門図版II」では、あらゆる器形を網羅して編年的図版配列を行ない、作風の展開のさまがわかるように努めた。
*柿右衛門図版II解説の執筆には赤沼多佳が協力した。
*図版には図版番号のほかに名称(英文とも)、指定、所蔵者名、主な寸法を付した。なお個人の所蔵者名は省略した。
【目次】
柿右衛門図版I
柿右衛門図版II
解説 林屋晴三
柿右衛門概説
柿右衛門図版I解説
柿右衛門図版II解説
図版目録 list of plates
参考文献
【柿右衛門概説】一部紹介
本巻の編集は、昭和?47年刊行の限定版「日本の陶磁」、さらに昭和?50年に限定版7巻を14巻に分冊刊行された愛蔵版「日本の陶磁」をもととしている。
しかし、その後約15年の間に古窯跡の発掘調査が大いに行なわれ、それによって生産上の作風分類などの点で、従来とは違った認識をもたねばならなくなり、本来ならば全面的に改定すべきであると考えるが、本全集は当初から愛蔵版「日本の陶磁」の普及版として刊行されてきたため、図版の編成はその一部を変更するにとどめた。
ただし概説は、やはり旧説では当を得たものではないと判断したので、全面的に書き改めた。近年の有田における古窯跡の発掘調査によって、従来私たちが有田の酒井田柿右衛門窯あるいはその系統の窯の製ではないかと推定してきた一群の有田の色絵や染付の磁器が、赤絵の創始者と推定されている初代?酒井田柿右衛門やその後の柿右衛門窯独自の生産品というものではなく、十七世紀?から十八世紀?にかけて有田の窯業地一帯でかなり生産されていた、いわばいわゆる古伊万里の一派であることが判然としてきた。したがって大正年間以後に認知されてきた、いわゆる柿右衛門焼というものは、十七、八世紀?の作品においては明?確にそれとして分類することは難しいと判断されるのである。
したがって最近、それらをやはり古伊万里として位置づけ、そのなかの一様式として扱うべきであるという見識が一般的になってきたので、読者におかれても、そうした認識に立って「柿右衛門」というやきものを捉えていただきたい。
江戸?時代?初期から今日にいたるまで、佐賀県の有田町を中心に展開した染付、青磁、赤絵などの磁業が、日本陶芸史上極めて大きな存在であったことはいまさらいうまでもなく、江戸?時代?を通じて終始わが国第一の製陶地として活躍を続けたのであった。窯屋や赤絵屋の組織などから推して、中国の景徳鎮ほどの巨大さはないにしても、世界でもっとも大きな製陶地の一つであったことは確かである。
国内での一般庶民階層にいたるまでの需要に応じて、日常食器を中心に莫大な生産量を誇るようになったのは、幕末文化、文政以後であったが、もちろんそれ以前でも、他の生産地に比べればはるかに多くを産出したことは。古窯跡の規模や現存する作品の量を見れば明?らかである。さらに、有田が早くからいかに大きな生産能力をもっていたかを物語る例として、有田の磁業が躍進の一途を辿っていた江戸?前期、十七世紀?に、当時東洋に進出し、わが国の平戸や長崎に商館を設けて対日貿易を独占していたオランダの東印度会社が、数十年の間に買い付けた有田の染付や色絵磁器は莫大な量であったことがオランダに伝えられた当時の史料にうかがわれ、いわば輸出産業として飛躍的な発展をしえたともいえる。
この数百年にわたる有田磁業の製品は、江戸?時代?を通じて一般に伊万里焼として扱われてきたが、近代?に至って、有田の代?表的な陶家の祖であった酒井田柿右衛門が赤絵の創始であったことが判然とし、初代?柿右衛門を顕賞するために、その実体が学問的に判然としていなかったにもかかわらず、一群の作風のものを柿右衛門作あるいはその窯の製と見なし、その他の作品を伊万里焼として扱うようになったのである。そうした分類が識者の間で行なわれるようになったのは、大正五年に大河内正敏博士が上梓した『柿右衛門と色鍋島』に始まる。しかし江戸?時代?を通じての記録においてはそうした分類はされていなかったのであり、江戸?前期の優れた文化史料である「隔冥記」には、すべて「今利」「今里」などの表示で有田の磁器が扱われている。いうまでもなく柿右衛門も他の有田皿山の製品も同様に、伊万里津(港)から積み出されたためであり、伊万里から船積みされたので「伊万里」として流通していたのであった。また、今日伝世する作品で江戸?中期以前の箱に収まったものは極めて少ないが、それらのなかにも「柿右衛門」という記載は見られない。おおくは「今利」「今里」「伊万利」の文字が書され、なかには中国から輸入された磁器の呼称であった「南京」または「南京手」と記されたものもあるが、それは柿右衛門家でも自家の注文帳に「南京手」と記しているので、中国風の磁器に対する当時の一般用語の例であったといえる。
以上のように、長い間柿右衛門も伊万里焼の一手として扱われてきたのであるが、柿右衛門の名が一般的な資料にまったく見られないわけでなく、(以下略)
【各作品解説 一部紹介】全作品に詳細な解説あり
1 色絵牡丹文深鉢 高さ25.4cm 口径22.7cm胴径25.8cm底径12.1cm
東京国立博物館
寛文から延宝、元?禄にかけて、有田ではこのような形式の蓋物がかなり生産されヨ、ロッパに輸出されていたが、それらが近年ヨ、ロッパからかなり請来された。この蓋物はなかではもっとも傑出した優作である。
牡丹を主題にした複雑な文様は、やはり当時の好みの、つであったらしく、壺や蓋物にも同様の意匠のものがある。この蓋物は蓋、身ともに同じ文様が配され、裏面に片輪車文をあらわした幔幕が描かれている。文様の上下に大きく雲を配しているのが特色で、明?代?の古赤絵や染付にみる雲堂文の転化した意匠かもしれない。その雲にだみ塗りされた青の上絵具は濃く、いささか配色の優美さを損ってはいるが、牡丹の花や枝の赤、黄、緑は美しく、筆行きはのびのびとしており、文様も総体的に大まかな趣がある。素地はやや青味をおびた白磁胎で、内部に釉なだれがあらわれており、高台は不整の円形でかなり深く削り込まれている。おそらく寛文年間後期の作と推測され、いわゆる柿右衛門様式の初期的な作例である。
2 色絵菊文壺 高さ27.3cm アシュモレアン美術館
柿右衛門様式の意匠としては、様式的に前図の牡丹文につづくものと考えられる。太湖石を中心に菊花を描いた壺のなかでは古格の作行きであり、上絵付の色調も全体的に濃く華やかにあらわされている。上絵具の一部は煮えているが、初期柿右衛門様式の壺としては共蓋も伴った数少ない作例の一つである。
3 色絵菊文壺 高さ25.1cm 口径11.9cm 胴径20.8cm 底径11.4cm
柿右衛門様式の最大の特色とされている乳白手白磁胎の壺である。青味がなく、柔らかさを感じさせる純白の釉膚に、赤、黄、緑、青の四色の上絵で絵付され、その色調はまことに華やかで明?るい。囗部の付根、肩、裾、高台際に、二筋あるいは一筋の赤線をめぐらして文様の区割をつける表現は、この種の沈香壺の基本的な様式であり、さらにこの壺は、胴に太湖石を中心として左右に菊花をめぐらした主題文様と、岩に草花をあしらった裏文様とを配した意匠をあらわしているが、この意匠は中国の南京赤絵の影響を受けながら和様化された柿右衛門様式特有の構図である。また太湖石を中心に、左右に花卉の枝をのばして円形の胴を包む様式は、元?禄以前の柿右衛門様式の色絵磁器の典型的な表現法であったが、この壺のように図柄が大まかでのびのびとあらわされたものは、時代?のやや早い作例のように思われる。肩の三方に格狭間風の窓をあけて牡丹折枝文を配し、地には七宝繋文を敷きつめ、肩下に蕨のような文様をめぐらしている。乳白手柿右衛門様式の沈香壺はかなり数多く残っているが、これほど鮮麗なものは極めて稀である。高台畳付には砂目が残っている。
ほか
【図版目録】一部紹介 銘、寸法、指定(重要無形文化財等)、所蔵先、英文記載
色絵牡丹文深鉢 東京国立博物館
Covered deep bowl with peony design, enamelled ware
Mouth diameter 22.7cm Tokyo National Museum
色絵菊文壺 アシュモレアン美術館
Jar with chrysanthemum design, enamelled ware
Height 27.3cm Ashmolean Museum, Oxford
色絵菊文壺
Jar with chrysanthemum design, enamelled ware
Height 25.1cm
(以降英文略)
色絵花鳥文八角壺
色絵花鳥文大瓶 梅沢記念館
色絵花鳥文大深鉢 重要文化財 東京国立博物館
色絵花鳥文大深鉢 MOA美術館
色絵花鳥文八角大壺 出光美術館
色絵双鳳牡丹唐?草文大皿 東京国立博物館
色絵花卉文輪花鉢
色絵牡丹文輪花鉢 サントリー美術館
色絵粟鶉文鉢 MOA美術館
色絵菊水文鉢 東京国立博物館
色絵菊文面取瓶 サントリー美術館
色絵桐鳳文大徳利 重要文化財 静嘉堂文庫
色絵梅樹人物文六角壺 富士美術館
色絵菊水文花入 梅沢記念館
色絵花卉文大皿 東京国立博物館
色絵桐亀甲文大皿
色絵秋草文鉢
染付鶉秋草文鉢
色絵唐?花文皿 元?禄八年銘 梅沢記念館
色絵松帆掛舟文皿 元?禄六年銘
色絵唐?花文皿 元?禄八年銘 栗田美術館
色絵花唐?草文皿 元?禄十二年銘
色絵人形
色絵人形
色絵人形
色絵馬
色絵馬
色絵鸚鵡 栗田美術館
色絵鳥
色絵麒麟香炉
色絵菊唐?草文鉢 東京国立博物館
色絵龍鳳文鉢 東京国立博物館
色絵雲龍文鉢
色絵龍濤菊文鉢
色絵獅子牡丹文鉢 東京国立博物館
色絵獅子牡丹唐?草文鉢
色絵山水文壺
色絵牡丹文大徳利
色絵棕構文徳利
色絵花鳥文壺
色絵花鳥文壺 ヴィクトリア.アルバート博物館
色絵梅文壺
色絵牡丹文壺
色絵花鳥文壼 出光美術館
色絵菊孔雀文壺
色絵牡丹文壺
色絵菊文壺 梅沢記念館
色絵菊文壺 栗田美術館
色絵菊文壺
色絵菊文小壺
色絵菊文壺 MOA美術館
色絵松竹梅虎文壺
色絵牡丹菊文壺 林原美術館
色絵牡丹菊文壺
色絵山水文徳利
色絵花鳥文徳利 メトロポリタン美術館
色絵梅樹文徳利
色絵獅子牡丹文徳利
色絵唐?子秋草文徳利
色絵蓮牡丹菊文壼
色絵牡丹浮文水注
色絵牡丹浮文水注 出光美術館
色絵人形水注
色絵牡丹浮文水注
色絵布袋浮文水注
色絵柘榴鳳凰文水注 栗田美術館
色絵草花文水注
色絵梅樹文水注
色絵梅人物文水注 林原美術館
色絵菊文水注
色絵草花文水注 林原美術館
色絵草花文水注 林原美術館
色絵葡萄栗鼠文銚子
色絵葡萄鳥文銚子 サントリー美術館
色絵牡丹文銚子 田中丸コレクション
色絵牡丹梅鉢文銚子
色絵柳鷺文銚子
色絵花鳥文小壺
色絵梅樹文小壺
色絵芭蕉唐?子文盃
色絵牡丹唐?草文盃
色絵秋草文盃,台
色絵梅梵文盃,台
色絵菊文壺
色絵花鳥文壺
色絵花卉文壺
色絵鳳凰柘榴文水注 東京国立博物館
色絵花鳥文鉢
色絵松竹梅文鉢
色絵花鳥文大鉢 梅沢記念館
色絵唐?人物文大壺
色絵菊水文鉢
色絵花鳥文鉢
色絵花卉文壺 出光美術館
色絵悔菊文徳利
色絵藤花文皿
色絵菊文三脚皿 田中丸コレクション
色絵牡丹唐?草文香炉
色絵花唐?草文香炉
色絵飛鳳文大鉢
色絵牡丹梅文皿
色絵梅菊文皿
色絵三果文皿
色絵三果文皿
色絵三果文皿
色絵薔薇草花文鉢 栗田美術館
色絵秋草文鉢 林原美術館
色絵紫陽花桐鳳凰文鉢
色絵花鳥団雅文鉢
色絵牡丹文鉢
色絵桃文鉢 田中丸コレクション
色絵秋草文鉢
色絵梅竹文鉢 栗田美術館
色絵飛鳥文鉢
色絵唐?人物文鉢
色絵菊文鉢 栗田美術館
色絵花鳥団龍文鉢 東京国立博物館
色絵牡丹鳳凰文鉢 林原美術館
色絵葡萄菊文鉢
色絵松竹梅文鉢
色絵牡丹文鉢
色絵鉄線蓮芥子文鉢 東京国立博物館
色絵花鳥文鉢
色絵梅竹鳳凰文鉢
色絵花卉文鉢 東京国立博物館
色絵秋草文鉢
色絵山水牡丹文鉢
色絵山水菊牡丹文鉢 田中丸コレクション
色絵棕櫚文皿
色絵梅樹文皿
色絵梅樹果実文皿
色絵菊秋草文皿
色絵山水文皿
色絵魚文皿
色絵牡丹竹虎文皿
色絵松竹梅文皿
色絵梅竹双鳥文皿
色絵梅竹勍文皿
色絵花卉文皿
色絵松鳥文皿
色絵唐?草七宝繋文皿 元?禄十二年銘
色絵菊唐?草龍文皿
色絵龍鳳唐?花文皿 元?禄十二年銘
色絵遊魚文皿
色絵菊唐?草文皿
色絵菊唐?草文皿
色絵蜜柑文小鉢
色絵唐?花文鉢
色絵唐?花文鉢
色絵蜜柑文向付
色絵双鳳文皿
色絵唐?花文向付
染付鳳凰文向付
色絵花唐?草文長皿
色絵獅子
色絵獅子 元?禄五年銘文 出光美術館
色絵人形
色絵人形
色絵人形
色絵人形
色絵人形
色絵人形
色絵人形 東京国立博物館
色絵人形
色絵人形
色絵人形
色絵碁盤童子 栗田美術館
色絵鶏香炉
色絵象
色絵鶏香炉
色絵釣鐘香炉 梅沢記念館
色絵虫籠形食籠
色絵藤花文燭台 田中丸コレクション
色絵牡丹唐?草文燭台 栗田美術館
色絵応龍文陶板 東京国立博物館
色絵団龍文陶板
色絵団龍文陶板 栗田美術館
★状態★
1989年のとても古い本です。
外観は通常保管によるスレ、浅いきず、背やけ、白い部分にうすヤケ程度、天小口に経年並ヤケありますが、
カラー写真図版良好、目立った書込み・線引無し、
問題なくお読みいただけると思います。(見落としはご容赦ください)