日立の手がけた傑作スピーカーシステムです!
現在では家電メーカーのイメージの強いメーカーですが、当時ではオーディオにもかなり力を入れていた時代もありましたね。
松下・テクニクス、シャープ・オプトニカ、東芝・オーレクス、三洋・OTTOなどなど本当に懐かしいです。
そのどれもが、オーディオ専業ブランドに負けない名機を輩出しており、今でも魅力は衰えません。
特に、世界でも先駆けてMOS-FETを開発し搭載したHMA-9500は正しく日立の知名度を確固たる物にしたと思いますが、同様に今回出品のHS-500も同社の歴史に名を残す名機でした。
設計においては一見してシンプルな2WAY構成のブックシェルフにもお見受けできますが、ユニットやネットワーク、エンクロージャーに至るまで全て専用の新設計でした。
特にウーハーのL-200やツイーターのH-70HDにおきましては、同社の受注生産品であり、正しく贅の限りを尽くしたハイエンドモデルでした。
L-200におきましては20cm口径とコンパクトなウーハーですが、独自開発のギャザードエッジによる歪みの無いサウンドを実現し、また10cmと言う大口径のボイスコイル、大型マグネットを備えた磁気回路などを備えた意欲作でした。
ツイーターにおきましては、アルミ無垢を超高精度に加工した削り出しを採用し、この頃としては最新鋭のマイラー素材のダイヤフラムを採用した点も大きな特徴です!
高い特性と耐久性は他の追随を許さない超高性能さはもちろんですが、大型のアルニコマグネットも備えた大型のホーン型ツイーターは当時の国産では皆無でしたね。
専用の音響レンズを備えた点も大変にユニークです。
強いて比べるのであればJBLの075あたりがライバルとなるのではと思いますが、特性や物量と言う点でも比較になりません。
エンクロージャーは堅牢かつ高密度なホモゲンホルツ材の天然付き板仕上げをあしらった高級仕様です!
構造としてはバスレフと密閉型の両方のメリットを両立したダンプバスレフ方式を採用しており、歪みの少なさと低音の伸びやかさのあるサウンドを実現しております。
実際に聴いて見ると、低音の力量感も素晴らしく、中古音にかけてはホーン型由来の繊細かつ奥行き感のあるサウンドが絶妙です!
音楽もJAZZやROCKなどもエネルギッシュに聴かせてくれますし、クラシックでも繊細さを再現してくれますので、本当に優等生ですね。
トランジスターアンプでも良いですが、PPモデルであれば真空管アンプでも抜群のパフォーマンスを発揮します!
機能面では、HIレベルの減衰の他、ツマミを切り替えることで、バイアンプにも対応しておりますので、将来的には挑戦して見るのも面白いでしょう。
ネットワークも実に凝った作りであり、ここまで内容の濃い国産スピーカーはそう多くは無いでしょう。
かつてはJBLからの開発のオファーをあっさりと断ったしまったとの逸話も残ることから、日立の威信を掛けたことが伺えます。
重量も22kgとかなり重く、作りの良さにも驚きます!
定価は1969年当時で85000円/1台とかなりのハイエンドモデルでした。
コンディションにおきましては、天面に軽微な小キズは見られますが、年式を考慮すれば大変に綺麗かと思います。
出品に際して、最低限のペーパがけとワトコオイルにて綺麗に仕上げましたので、美しい木目と深みのある色合いが復活いたしました!
角の当てやへこみも見られず、この手のモデルに多く見られるサランネットの反りも極めて小さいです!
ネットもヨゴレや穴あきなども無く、末永く大切にされていたことが伺えます。
ユニットにおきましてはウーハーのスポンジがボロボロになる事でボイスコイルを擦ってしまう症状も多く見られるようですので、除去及びクリーニングを致しております。
エッジの弾力もあり、コーン紙も綺麗です。
また、ツイーターのアルミのサビも見られず、大変に綺麗です!
各ユニットより音出しも良好であり、末永くお使い頂ける事だと思います。
ネットワークのツマミに若干のガリはあります。
ここまで綺麗な個体もそう多くはありませんので、必見です!