先代のミウラはV型12気筒エンジンをミッドシップに横置き配置することで成功を収めたが、極端なリアヘビーに起因する高速域での不安定さや、
複雑なトランスミッションレイアウトによるシフトフィールの悪さなど、横置きミッドシップ特有の欠点が課題として残された。
これに対して後継となるカウンタックでは、次世代のミッドシップスーパーカーを指向し、縦置き配置によるミッドシップレイアウトを採用した。
このレイアウトは、従来レーシングカーのフェラーリ・Pシリーズで採用があったが、ロードゴーイングカーのV型12気筒エンジンでは初の試みだった。
とはいえ巨大なV型12気筒エンジンを縦置きにすると、理想的な重量配分は得られるものの、ホイールベースが長くなるために旋回性能が低下してしまう。
技術者のパオロ・スタンツァーニはこの問題を解決すべく、通常とは前後を反転してエンジンの前方にギヤボックスおよび
アウトプットシャフトを置く配置で、縦置きエンジンであるにもかかわらずミウラよりさらに短い2,450 mmというホイールベースを実現した。
トランスミッション自体は、ポルシェタイプのシンクロメッシュを備えた5速マニュアルを搭載している。
エンジンから前方のギアボックスに駆動力が伝達され、そこから折り返されたドライブシャフトはオイルサンプを貫通し、
後輪のディファレンシャルギヤに伝達される。この配置は、トランスミッションとディファレンシャルの間にエンジンの全長を効果的に収めただけでなく、
コクピット直下にギアボックスがあるためワイヤーを介さず直接シフトレバーを取り付けることができ、良好なシフトフィールも実現した。
通常はフロントオーバーハングに置かれるラジエーターはエンジン両サイドに横置きに設置し、その下両サイドに80 Lずつの容量の燃料タンクを配置した。
これによってフロント側に収められる重量物はスペアタイヤとバッテリーのみとなり、質量中心が車両の中央にくることによる安定性の向上、
高い冷却効果、エンジンルームへのアクセスが容易といったメリットをもたらした。
エンジンはミウラから引き継いだバンク角60のV型12気筒DOHCを搭載するが、排気量はミウラの3.9 Lから5 Lに拡大され、
1971年のLP500公開時点では最高出力446 PS / 7,400 rpmと発表されていた。
実験用のユニットは従来の3.9 Lエンジンのブロックをボーリング加工して製作されたが、
1971年の路上テスト中にブローしたことで生じた耐久性の問題をクリアできず、初の市販モデルとなるLP400では
従来の3.9 Lエンジンが継続搭載されることとなった。
その後のエンジン開発により、1982年の5000Sでは排気量4,754 cc、1985年のLP5000QVでは排気量5,167ccに増加した。