本来であれば交換が望ましいのですが、16233の新品ブレスが577,500円、現行の126233は785,400円だそうです。
(2024年10月現在の税込価格、
金価格高騰により今後も値上がり必至)ちょっと現実的ではないですね。
中古でも程度の良いブレスは20万以上しますし、使用に伴う『ヨレ』は必ず発生します。
年代と共に発生する『ヨレ』は味があって良いと言う方も居らっしゃいますが、『ブレス切れ』の危険性は否めません。
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◎何故ブレスの『ヨレ』【画像1:Before・5】は発生するのでしょうか?
多くは
ブレスが伸びる(
コマの間隔が広がる)事に起因します。
主な原因としては、
①ピンの摩耗【画像2】
(分解した【画像1:Before】のブレスの状態【画像6】は摩耗によりピンが破断しブレスが切れた16233です)
※【画像6】はFFの形状から1995年以降の個体である事が分かりますが、使用状況によっては摩耗で破断する事があります。
②ピンの曲がり
(強い衝撃やコマの過度の摩耗により発生し、コマの並びが不均等になります)
③ピンの緩み
(衝撃やネジレで発生する事が多く、稀に通常の使用でも発緩みます。最悪の場合コマが外れます)
※正常なブレスはクラスプ側から本体まで緩やかに広くなりますが、幅がイビツな場合はピンが緩んでいる可能性があります。
④コマ同士の接触面の摩耗【画像3・4・5】
(【画像3】は軽度の摩耗です
が【画像4・5】は
ピンの摩耗も進んでいると考えられ、ブレス切れの可能性が高くなります)
⑤
コマの内側の摩耗
【画像10】※ピンとの接触部
(コマの内側の摩耗は補修が出来ないのでピン交換後も若干『ヨレ』が残ります)
が挙げられます。
●①⑤はブレスを分解しないと分かりませんが、その他②〜④はブレスの状態である程度の確認ができます。
●16233までは3連部のコマが空洞だった為に可動域が大きく、ピンとコマが摩耗し易い構造でした。
116233以降3連部のコマが空洞でなくなったのは、この対策でもあったと思われます。
●ピンとコマの摩耗は、程度の差はあっても長年の使用で必ず発生します。
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◎『ヨレ』の判断基準としては【画像7】をご参照下さい。
ピンとコマの摩耗が進んでくると、立てた時計本体の角度が段々と寝てきます。
本体の角度が概ね60度以上であれば良好、60度以下は要注意、
自立しない場合はピンの破断による『ブレス切れ』の危険性が高くなっています。
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【ピンを交換するメリットは?】
①ある程度の『ヨレ』を修正する事ができます。【画像1:
After】
②『ヨレ』の進行を防ぐ事ができます。
③ピンの破断による『ブレス切れ』を予防する事が
できます。
●16233の場合、発売から35〜20年が経過していますので【画像1:Before】の状態で
通常1.2mmのピンが半分程に摩耗
【画像2】
しており、これ以上の摩耗はブレス切れの危険性が非常に高くなります。
もし
ブレスが切れた場合には、コマの紛失や落下により時計本体の外装(風防・ベゼル・ケース)やムーブメントにも多大なダメージを負うことになります。(修理となるとブレス・外装交換+オーバーホール等で高額出費となります)
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【作業順序】
①落札後にブレスのみをお送りください。※送料はご負担ください。
(バネ棒、フラッシュフィット【画像8】は外して下さい。クラスプは付けたままで構いません。)
※バネ棒・フラッシュフィットが外せない場合は『
宅急便コンパクト』等の補償付き配送でお送り下さい。
②両端にネジ穴の無いコマ(16233の場合で12時側・6時側合わせて15コマ)+サイズ調整用コマ【画像9】
のピン交換と
隙間修正になります。
(【
画像4・5】まで摩耗している状態ですと、隙間調整は難しい為に
ピン交換のみとなります)
③作業終了
後にネジレ等の微調整を行い、ご返送させて頂きます。
●【画像1】は、1995年に購入し約30年使用した16233のBefore -After
です。
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【確認事項】
◎リペア作業をご依頼頂くにあたり、以下の5項目を確認・ご了解の上で落札して下さい。
①
どの程度まで『ヨレ』が
修正できるかは、
コマ同士の接触面【画像3・4・5】と、
ピンとの接触部【画像10】(3連部のコマの内側)の摩耗
によって個体差があります。
【画像1】のafterはあくまで目安であり、保証するものではありません。
②隙間調整を行うとブレス幅が若干狭くなる為(
0.1〜0.5mm程度)『
サイズ調整用コマ』を追加する場合に組みにくくなる場合があります。
③ピン交換作業時に、どうしてもブレス裏面に専用工具の『当たり』
が付いてしまいますので、
作業後に裏面のみ軽くポリッシュ(ヘアライン処理)してからご返送させて頂きます。
※バックル
表面(クラスプ)のポリッシュ(ヘアライン処理)も併せて行います。(不要な方はお申し出下さい)
④ピン交換を行う際に、 摩耗によるコマの歪みの為にブレスに僅かなネジレが発生する事があります。
可能な限り修正させていただきますが、微かにネジレが残る場合があります。
(装着した状態では気が付かない程度です)
⑤隙間修正を
行った場合にコマの動きが渋くなる事がありますが、
これはコマの摩耗により多少段差ができるためで、使用しているうちに解消されます。
コマの段差も含めての修正となると接触面の研磨や交換が必要となり、かなりの追加費用がかかります。特に摩耗しやすい18kのコマを交換した場合、程度の良い中古品を購入した方が安い場合があります。
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◎経年によってコマの摩耗は避けられない為にピン交換後も新品同様とまではいきませんが、
これからも永く愛用したい方や、特にオーバーホール前には是非お勧めの作業です。
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不明点はご質問ください。