絶版希少本 文房清?玩 上 硯・墨 宇野雪村コレクション 写真解説104点 古硯 古墨
端渓硯 トウ河緑石硯
歙州硯
古墨 明?墨 清?墨和墨
宇野雪村 著
平凡社
1986年初版
170ページ
約21.5x19x1.6cm
ハードカバー
作品写真図版フルカラー 解説モノクロ
※絶版
昭和?期を中心に活躍した書家、文房四宝研究の第一人者の一人、日本書道家有数のコレクターである
宇野雪村氏のコレクションから、古硯・古墨104点をフルカラーで展観紹介、詳細な解説を付したもの。
古来、中国の文人たちは書画の制作道具《筆・硯・紙・墨》を文房四宝と称し、名品を求めて賞玩してきた――
文房具の歴史と古硯古墨の鑑賞を通して、文房清?玩の精神にふれる内容。
解放後の中国では百年以上経過した古文物は国外への持ち出しは禁止であり、特に古墨は全くの禁止。
それ以前に著者が蒐集した古墨、古硯は現在は大変に貴重なもの。
古硯51点(うち端渓硯21点、トウ河緑石硯5点、
歙州硯5点ほか
)、古墨53点(明?墨30点、清?墨5点、和墨18点)の
フルカラー写真図版と詳細な解説。
中国古美術の古硯・古墨について詳しい論考も内容充実の図録本。
巻末テキストでは明?、清?、日本の硯譜・墨譜解題も付した大変貴重な資料本です。
【目次】
文房具の歴史
はじめに 墨堤の筆祖碑 漢硯の手がかり 文房具の始源 六朝時代?の文房具 唐?時代?の文房具 五代?の文房具 宋?時代?の文房具 元?時代?の文房具 明?時代?の文房具 清?時代?の文房具 朝鮮の文房具 日本の文房具
硯
硯のいろいろ
端渓硯(古硯と新硯 石質 石色 石文 石眼 石声)歙州硯 トウ河緑石硯 松花江緑石硯 澄泥硯 陶磁硯 山東省産硯 名代?硯 硯銘 ほか
図版
端渓硯
トウ河緑石硯
歙州硯
松花江緑石硯
駝磯島石硯
興化石硯
瀏陽石硯
澄泥硯
陶磁硯
瓦硯・瓦当硯・土専硯
木漆硯
青金玉硯
墨
墨と黒匠
宋?時代?の墨 明?時代?の墨 明?末清?初 和墨
図版
明?墨 清?墨 和墨
硯譜・墨譜解題
【見出しより】
端渓硯
中国硯を代?表するのが端渓硯である。端州硯、略して端硯ともいう。唐?時代?の出土硯が知られ、宋?時代?には七十余の硯坑があった。紫を主に灰蒼・緑色があり、変化に富む斑文や石眼が美しい。
洸河緑石硯
甘粛省臨潭県臨洸、黄河の支流のトウ河の河底から宋?時代?に産出したという。氾濫によって河の流路が変り、採石場所を失って絶えた幻の名石である。稀少で硯の王者の地位にある。
歙州硯
南唐?時代?に盛名を得た歙州硯は、端渓硯と肩を並べる名硯として称賛された。緊密な石質で、爪ではじくと高く澄んだ音をたてる。古人はこれを金声と呼んだ。
澄泥硯
「青州の石末を以て第一となす」と唐?の柳公権は評した。これは石末澄泥硯をさしている。澄泥硯の製法は宋?時代?の記録によれば、河中の細かい泥を濾過して乾かし、成形したのち焼成するのだという。
陶磁硯
唐?以前の硯の多くは出土硯で、中に陶硯を多く見る。宋?・元?の例は少ないが、明?・清?に至ると染付・赤絵・金襴手などのやきものの硯が文房を飾った。白磁硯で彩墨を磨る、鮮やかな色が目に浮ぶ。
瓦硯・瓦当硯・土専硯
古代?の出土品を蒐集し尊重する風潮が、秦・漢時代?の建築用材であった瓦・瓦当・土専などを硯に生れ変らせた。実用よりもむしろ、古物を文房具に作り愛玩する文人の嗜みに注目する。
明?墨
明?の時代?、名墨匠が輩出して業を競いあるいは墨譜に名を止め、油烟墨に逸品が数多く作られた。嗜墨家垂涎の的である。墨にこめられた先賢の思念と四百年の重みが、磨すことを躊躇させる。
清?墨
文房趣味に傑出した乾隆?帝は、墨匠に命じて明?墨とは異なる豪華墨を作らせた。乾隆?御墨である。文様を施した絢爛たる蝋箋に、晝くにふさわしい。
ほか
【掲載作品一部紹介】
端渓緑石蘭亭硯
端渓紫石蘭亭硯
端渓門字抄手硯
端渓水巌中蛙硯
端渓老坑水巌琴硯 高鳳翰銘
端渓水巌天然硯
端渓水巌雲刻板硯
端渓宋?坑双龍争珠硯
端渓宋?坑板硯
端渓宋?坑竹節硯
端渓水巌鐘硯
端渓大西洞水巌漁隠図硯
端渓大西洞水巌門字小硯
端渓大西洞水巌板硯
端渓水巌長方硯
端渓水巌天然板硯
端渓下巌板硯
端渓梅花坑奎硯
端渓キ龍文玳瑁斑長方硯
兆河緑石板硯 トウ河緑石板硯
トウ河緑石蘭亭硯
トウ河緑石蓬莱硯
トウ河緑石長方硯
歙州角浪羅文太史硯
歙州龍尾仔石硯
歙州水浪羅文横行君子硯
歙州羅文弦月硯
歙州羅文倣唐?八稜澄泥硯
松花江緑石蜘蛛硯
駝磯島石硯
興化石鐘硯
瀏陽緑石長方硯
澄泥蟹殻青太史硯
澄泥善魚黄蓬莱硯
澄泥蝦頭紅キ龍文硯
澄泥魚肚白抄手硯
石末澄泥鐘硯
多孔台円面青磁硯
獣脚台円面緑釉硯
染付磁硯
万暦赤絵磁硯 大明?万暦年製
漢半瓦当硯
漢瓦当長生無極硯
木漆硯
青金玉硯
九錫玄香墨 羅小華 作
経之墨 汪中山 作
玄龍煥墨 方于魯 作
玄龍煥墨 無款
玄龍煥墨 無款
七香図墨 方于魯 作
三星図澄 方于魯 作
龍九子墨 方于魯 作
按図求駿馬墨 汪春元? 作
赤水珠墨 程君房 作
玉蘭墨 無款
百爵図墨 呉鴻漸 作
幽谷遷喬墨 呉鴻漸 作
百爵玉図墨 呉鴻漸 作
有虞十二章墨 呉申伯 作
五老松墨 呉申伯 作
百駿図墨
百駿図墨
太平有象墨 孫玄龍 作
洗象図墨 無款
八駿墨
百猿図墨
十二支墨
天保九如墨 程君房 作
九貢墨 五去塵 作
光分太乙墨 乾隆?帝御墨
東林蓮社墨 乾隆?帝御墨
御墨 乾隆?帝御墨
便面墨 蒋氏 作
天禄琳琅墨 汪近聖 作
壺公墨
ほか
【宇野 雪村】(うの せっそん、1912年1月23日 - 1995年4月6日)
書家。文房四宝研究の第一人者の一人である。
兵庫県美方郡大庭村(現・新温泉町)生まれ。本名・武夫。御影師範学校卒。上田桑鳩に師事。1942年「寧楽懐古」で興亜書道連盟展文部大臣賞受賞。戦後は前衛書、アクション・ペインティングで海外でも知られ、1969年奎星会代?表。1973年大東文化大学教授、1974年紫綬褒章受勲。1978年毎日書道会理事。1982年大東文化大学の定年を迎え、名誉教授となる。1984年毎日芸術賞受賞。
碑板・法帖研究の第一人者の一人であること、生前に収集された一大コレクションは貴重な文化遺産である。
主な著書
『古墨』木耳社
『現代?書道教室 宇野雪村』筑摩書房
『法帖』木耳社
『入門書道全集 6 前衛書』実業之日本社
『文房古玩事典』柏書房
『文房四宝』平凡社カラー新書
『書の旅』二玄社
『必携文房古玩事典』柏書房
『法帖事典』雄山閣出版
『文房清?玩』平凡社
『古墨の知識と鑑賞』二玄社
『木簡の書』同朋舎出版
『宇野雪村 人と作品』田村空谷編 同朋舎出版